世界一周のためのワクチン接種。Notebook LMとClaude Codeをフル活用したAIと組んだワクチン接種計画と、バンコク・チェンマイ・そして日本でのワクチン接種をレポートする。
1. AIと組んだ当初の計画
ワクチン接種一覧
ワクチンは全部打てばいいというものではない。1本1万円を超えるものもあるし、複数回に分けて打つものもある。行き先から逆算して、AIとディスカッションしながら絞り込む。
材料にしたのは次の3つだ。
- 母子手帳。子どものころ打ったものは、追加接種だけで済む場合がある
- 厚生労働省検疫所(FORTH)の渡航先別の推奨。国の公式情報を土台にする
- 自分のルート表。アフリカに入るなら黄熱の証明書が要る、といった条件が見えてくる
これをまとめてAIに渡し、対話しながら組み上げた。出てきたのが次の8種類だ。

金額はこの時点でネットから拾った概算で、実際に払った額は後述する。
参考:厚生労働省検疫所 FORTH「海外渡航のためのワクチン」
当初のスケジュール案
複数回打つワクチンもあるので、ワクチン接種は1日では終わらない。スケジュール案もAIとともに組んだのがこちら。

この計画表を印刷して持っていったのが、結果的に一番効いた。医師に見せると話が早い。スネークファームの医師にも「2026年に入ってから、AIで計画を持ってくる人の精度が上がった」と言われている。
2. スネークファーム(タイ・バンコク)
正式名称は Queen Saovabha Memorial Institute。タイ赤十字社が運営する、渡航者向けの予防接種施設だ。
接種実績
この日は1日に、午前と午後に分けて、6本打った。詳細はこちら。
| 時間帯 | 接種したもの・費用項目 | バーツ |
|---|---|---|
| 午前 | 黄熱(STAMARIL) | 1,550 |
| 狂犬病1回目(VERORAB) | 350 | |
| Tdap+ポリオ(BOOSTRIX POLIO) | 700 | |
| イエローカード発行手数料 | 200 | |
| 登録料・医療サービス料 | 70 | |
| 午後 | 腸チフス(TYPHIM) | 570 |
| 髄膜炎菌(MenQuadfi) | 3,000 | |
| 日本脳炎(IMOJEV) | 600 | |
| 支払い合計(現金) | 7,090バーツ | |
ここで事前情報と違ったことがある。「1日に打てるのは4本まで」という制限は、実際にはなかった。医師に聞くと「多い人は7本打つ」との返事で、体調変化の有無や腕の太さにより、1日あたりの接種制限は変動するようだ。そのため、医師との相談の上、その場で打てるものを前倒しした。予定を詰めたいなら現地で直接聞いてみる価値がある。
支払いは現金のみ。敷地内にATMがあるので、足りなくなっても足せる。
課題:A・B型肝炎ワクチンの在庫がなかった
計画の1日目に入れていたA・B型肝炎の混合ワクチン(Twinrix)が、在庫切れだった。1回目が打てないと、2回目も3回目も全部ずれ、この時点でスケジュールが崩れ始めた。
スネークファームの詳細については、こちらの記事をぜひ。

3. Clinic 108(タイ・チェンマイ)
次に向かったのが、チェンマイの国立マハラートナコンチェンマイ病院。その敷地内にある Clinic 108 が、予防接種のワンストップ窓口になっている。
接種実績
| 受診 | 接種したもの | 内訳 | バーツ |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 狂犬病 2回目(Verorab) | 薬剤296+看護料30+外来料300 | 626 |
| 2回目 | 麻しん風しん(MRR) | 薬剤235+看護料30+外来料300 | 565 |
| 合計 | 1,191バーツ | ||
バンコクより1本あたりが高く見えるのは、ワクチン代に看護料と外来診察料が乗っているから。ワクチンそのものは国立病院のほうが安い。
課題:ここでもA・B型肝炎の在庫がなかった
チェンマイでは、国立と私立の2か所を回ることになった。
- 国立(Clinic 108)… 在庫なし。「近くに私立病院があるから、そっちへ行ってみて」と紹介される
- 私立(シーパット医療センター)… 午前に聞くと「あります」。ただし昼休みに入るため午後に出直し。戻ったら、午前中に切れていた
タイ全土で品薄になっている、という説明だった。代わりにA型とB型を単独で打つ案も出たが、スケジュールが複雑になってタイ滞在中に終わらないため、タイでのA・B型肝炎の接種は、ここで断念した。
チェンマイでのワクチン接種の詳細は、こちらをぜひ。

4. タイ国内での実績と、当初計画とのズレ
タイ国内での計画の組み直し。
出国前に立てた計画では、全てのワクチンをバンコクのスネークファームで打つつもりだった。ところがDay 0でA・B型肝炎の在庫切れにぶつかり、その場でチェンマイに移動してから打つ計画へ切り替えている。そのときに、間隔の決まっていない、一回でよいワクチンはDay 0にまとめて前倒しした。
下の表は、「出国前の計画」と「バンコクで組み替えたあとの計画」を分けて並べてある。狂犬病の2回目と麻しん風しんがチェンマイになっているのは、出国前の計画から見れば変更だが、組み替えたあとの計画から見れば予定どおりに進んだ、ということになる。
タイを出る時点で、計画と実績はこうなっていた。
| No | ワクチン | 出国前の計画 スネークファーム | 組み替えた計画 | 実際 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 黄熱 | Day 0 | 変更なし | スネークファーム | ✅ 計画どおり |
| 2 | 狂犬病 1回目 | Day 0 | 変更なし | スネークファーム | ✅ 計画どおり |
| 3 | Tdap+ポリオ | Day 0 | 変更なし | スネークファーム | ✅ 計画どおり |
| 4 | A・B型肝炎 1回目 | Day 0 | チェンマイへ | ❌ 在庫なし | ❌ 打てず |
| 5 | 腸チフス | Day 7 | Day 0 に前倒し | スネークファーム | ⬆️ 前倒し |
| 6 | 日本脳炎 | Day 7 | Day 0 に前倒し | スネークファーム | ⬆️ 前倒し |
| 7 | 髄膜炎菌 | Day 18 | Day 0 に前倒し | スネークファーム | ⬆️ 前倒し |
| 8 | 狂犬病 2回目 | Day 7 | チェンマイへ | Clinic 108 | ✅ 変更後どおり |
| 9 | 麻しん風しん 2回目 | Day 18 | チェンマイへ | Clinic 108 | ✅ 変更後どおり |
| 10 | A・B型肝炎 2〜3回目 | Day 7 以降 | チェンマイへ | ❌ 在庫なし | ❌ 打てず |
「1日4本まで」の制限がなかったおかげで、3回に分けるはずだった予定が実質2回で終わった。ここは計画より良くなっている。
一方で、唯一崩れたのがA・B型肝炎。しかもこれが一番高くつく結果になった。
| No | ワクチン・費用項目 | 接種したエリア | THB | 日本円 | USD |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 黄熱(STAMARIL) | スネークファーム@バンコク | 1,550 | 7,750円 | $47 |
| 2 | 狂犬病 1回目(VERORAB) | スネークファーム@バンコク | 350 | 1,750円 | $11 |
| 3 | Tdap+ポリオ(BOOSTRIX POLIO) | スネークファーム@バンコク | 700 | 3,500円 | $21 |
| 4 | 腸チフス(TYPHIM) | スネークファーム@バンコク | 570 | 2,850円 | $17 |
| 5 | 髄膜炎菌(MenQuadfi) | スネークファーム@バンコク | 3,000 | 15,000円 | $91 |
| 6 | 日本脳炎(IMOJEV) | スネークファーム@バンコク | 600 | 3,000円 | $18 |
| 7 | イエローカード発行手数料 | スネークファーム@バンコク | 200 | 1,000円 | $6 |
| 8 | 登録料・医療サービス料 | スネークファーム@バンコク | 120 | 600円 | $4 |
| 9 | 狂犬病 2回目(診察料込み) | Clinic 108@チェンマイ | 626 | 3,130円 | $19 |
| 10 | 麻しん風しん MRR(診察料込み) | Clinic 108@チェンマイ | 565 | 2,825円 | $17 |
| タイでの合計 | 8,281 | 41,405円 | $251 | ||
5. 大阪での接種
残ったA・B型肝炎は、日本に戻ってから打った。梅田の大阪トラベルクリニックという、渡航前の予防接種を専門にしているところだ。ネットで探して予約した。
接種したワクチンと薬
| No | 項目 | 金額(税抜) |
|---|---|---|
| 1 | A・B型肝炎混合(Twinrix)× 3回 | 45,000円 |
| 2 | 狂犬病 3回目(Verorab)× 1回 | 12,000円 |
| 3 | ダイアモックス錠(高山病予防薬)5シート | 2,500円 |
| 4 | 初診料 3,000円 + 再診料 1,000円 × 2回 | 5,000円 |
| 合計(消費税込み) | 70,950円 | |
狂犬病は、タイで2回打った時点で完了のつもりでいた。医師と相談したところ、国によっては、3回の接種を基準とするところもあるため、世界的には3回打っておくのが確実とのことで、ここで3回目を足している。
ダイアモックスは高山病の予防薬だ。ヒマラヤ、ボリビアのウユニ、チリのアタカマと、標高の高い場所が旅の後半に集中しているので買っておいた。
接種スケジュール
Twinrixは通常0・1か月・6か月で打つので、完了まで半年かかる。出発時期から逆算すると、そのやり方は取れなかった。
| タイミング | 接種したもの |
|---|---|
| Day1 | Twinrix 1回目/狂犬病3回目 |
| 1週間後 | Twinrix 2回目 |
| さらに3週間後 | Twinrix 3回目/ダイアモックス購入 |
短い間隔で3回打って、旅の前に基礎免疫を作ってしまう「迅速スケジュール」だ。帰国後にもう1回打つと、生涯にわたって有効になると説明を受けている。
日本ではTwinrixの在庫が潤沢だった。タイで3か所回って打てなかったものが、その場であっさり打てた。
日本国内でのトラベルクリニックの詳細は、こちらの記事を参考にして欲しい。

6. 国・エリア別の接種一覧
最終的に、どこで何を打ったか。1枚にまとめるとこうなる。
| ワクチン | バンコク | チェンマイ | 大阪 | 合計回数 |
|---|---|---|---|---|
| 黄熱 | 1回 | ― | ― | 1回 |
| 狂犬病 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 3回 |
| Tdap+ポリオ | 1回 | ― | ― | 1回 |
| 腸チフス | 1回 | ― | ― | 1回 |
| 日本脳炎 | 1回 | ― | ― | 1回 |
| 髄膜炎菌 | 1回 | ― | ― | 1回 |
| 麻しん風しん | ― | 1回 | ― | 2回目で完了 |
| A・B型肝炎 | ❌在庫なし | ❌在庫なし | 3回 | 3回 |
| 高山病予防薬 | ― | ― | 5シート | ― |
| 支払額 | 7,090B | 1,191B | 70,950円 | 約112,000円 |
※日本円は1バーツ=5円、米ドルは1バーツ=0.0303ドル(2026年9月時点)で換算。※各行は四捨五入のため、合計と一致しない場合がある。
7. タイと日本、どっちが安いのか
同じワクチンを全部タイで打った場合と、全部日本で打った場合を並べてみる。タイはスネークファームの公式価格表、日本は大阪トラベルクリニックの公表価格を使った。


| ワクチン | タイ | 日本 | 差 |
|---|---|---|---|
| 狂犬病(Verorab) | 350B 約1,750円 | 13,200円 | 7.5倍 |
| A・B型肝炎(Twinrix) | 1,150B 約5,750円 | 16,500円 | 2.9倍 |
| 麻しん風しん(MMR) | 450B 約2,250円 | 11,000円 | 4.9倍 |
| 腸チフス | 570B 約2,850円 | 11,000円 | 3.9倍 |
| Tdap(破傷風など) | 700B 約3,500円 | 9,350円 | 2.7倍 |
| 髄膜炎菌 | 3,000B 約15,000円 | 25,300円 | 1.7倍 |
| 日本脳炎 | 600B 約3,000円 | 7,700円 | 2.6倍 |
| マラリア予防薬(1錠) | 5B 約25円 | 770円 | 30倍超 |
自分が打った内容(狂犬病3回・Twinrix3回・他6種)で計算すると、こうなる。
| 全部タイで打った場合 | 約49,100円 |
| 全部日本で打った場合 | 約153,500円 |
| 差 | 約10万円(3.1倍) |
※黄熱は大阪トラベルクリニックの価格表に記載がないため、両方から除いて計算した。日本は消費税込み、診察料は含まない。日本の価格は大阪トラベルクリニックの公表価格(2026年9月時点)。
8. まとめ:タイで打つべきか
おすすめできる条件
ワクチン代だけで比べるなら、タイのほうが3倍前後安いことが分かった。
ただしこの比較には、渡航費も滞在費も入っていないため、留意が必要だ。ワクチンのためだけにタイへ行くと、10万円ほどの差が縮まる。私の場合はもともとタイに滞在する用件があったので、単純にワクチン代だけの比較が成り立っている。
タイでのワクチン接種をおすすめできるのは、こういう人になる。
- もともとタイに行く予定がある人。滞在のついでに打てるなら、費用面のメリットがそのまま残る
- タイに3週間以上いられる人。複数回のワクチンは間隔を空ける必要がある
- 打つ本数が多い人。1〜2本なら差額より手間のほうが大きい。8本ともなると差が効いてくる
ただし、在庫が切れているリスクがある
安いかどうかと、在庫があるかどうかは別の話だった。自分はA・B型肝炎で3か所とも空振りしている。しかも在庫はこちらでコントロールできない。午前にあったものが午後には消えていた。
複数回に分けて打つワクチンほど、これが致命傷になる。1回目が打てなければ全部ずれるし、2回目を打つころには次の国へ移動している。
実際にやってみて出た結論はこれだ。
- 1回で終わるワクチンはタイで打つ。黄熱・髄膜炎菌・腸チフス・日本脳炎あたりは、行った日にその場で終わる
- 複数回に分けて打つワクチン(A・B型肝炎など)は、日本で先に済ませる。旅先で始めると詰む
- マラリア予防薬はタイで買う。1錠5バーツ(約25円)は、日本で買う770円と比べものにならない
この切り分けさえできていれば、自分がやった遠回りは避けられる。腕に残った証拠は、そのまま旅の盾になる。
詳細記録
この記事は全体のまとめなので、1回ごとの様子は連載のほうに書いてある。金額の内訳や現地でのやりとりはこちらをぜひ読んで欲しい。



📍 施設情報
| 施設名 | Queen Saovabha Memorial Institute(通称スネークファーム) |
| 住所 | 1871 Rama 4 Rd, Pathum Wan, Bangkok 10330 |
| 受付時間 | 平日 8:30〜15:30 / 土日 8:30〜12:00 |
| 施設名 | Clinic 108 One Stop Service(Maharaj Nakorn Chiang Mai Hospital 内) |
| 住所 | Inthawarorot Rd., Suthep, Mueang District, Chiang Mai |
| 診療時間 | 月〜金 08:00〜16:00 / 16:30〜20:30 |
| 施設名 | 大阪トラベルクリニック |
| 住所 | 〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1-1-3 大阪駅前第3ビル2階 |
| 予約 | 予約推奨(飛び込みも受付あり) |

