ワット・プラシンに向かう途中、香ばしい炭火の匂いに足が止まった。
チェンマイ旧市街にあるSP Chicken(ไก่ย่างเอสพี)を訪れた。もともとはワット・プラシンを見に行く予定だったが、お昼が近づくにつれて空腹が勝ち、Googleマップで近くの評価が高い店を探して飛び込んだ。炭火焼き鶏を専門にする店で、地元の人にも観光客にも支持されている様子だった。今回は半羽の炭火焼き鶏と、牛肉のグリルを注文したので、その様子をレポートする。
緑に囲まれた、炭火グリルが目印の店構え

通り沿いの店は緑に覆われていて、注意していないと看板を見落としそうになる。入口の左手にはむき出しの炭火グリルが置かれていて、道を歩いているだけで丸鶏が焼ける匂いが漂ってくる。GrabFoodの看板も掲げられていて、デリバリーの需要も高いようだ。

黄色い看板には「ไก่ย่าง เอส พี(SP CHICKEN)」の文字と、鶏をかたどったロゴが描かれている。シンプルながら目に留まりやすいデザインで、一度見たら覚えられる店名だ。

営業時間は10時から17時までと、夕方には閉まってしまう。ランチ利用が中心の店なので、訪れるなら午前中から昼過ぎがおすすめだ。

店先の炭火グリルには、串に刺さった丸鶏が5羽以上並んでいた。皮はきつね色に焼き上がっていて、炭の熾火が真下でゆらめいている。通りすがりでもこのグリルが目に入れば、思わず立ち止まってしまうはずだ。

外壁には料理の写真とメニューを載せた大きな看板も設置されている。炭火焼き鶏だけでなく、ラープやソムタムといったイサーン料理も一通り揃っているようだ。
奥に長い、地元客で賑わう店内

中に入ると、奥へ向かって細長く席が続いている。木のテーブルとブルーのベンチという組み合わせがローカル食堂らしく、訪問時も地元の常連らしき客がそれぞれ一人で食事をしていた。ランチタイムの少し早い時間だったが、この賑わいなら混雑する時間帯もありそうだ。

レジ奥の厨房には、刻んだハーブや唐辛子、揚げにんにくなどの薬味がずらりと並んでいた。これだけの種類の仕込みを見ると、炭火焼き鶏だけでなく、和え物系の料理にも力を入れているのがよくわかる。
メニュー|チェックシート方式で注文

注文はテーブルに置かれた用紙に丸をつけるチェックシート方式。1番から33番まで番号が振られていて、料理名と価格がタイ語で書かれている。タイ語が読めなくても、番号を指させば注文できるので身構える必要はない。

レジ横には写真と英語表記付きのメニューボードもある。看板メニューは丸鶏の炭火焼き(Kai Yang)で、1羽190バーツ、半羽なら105バーツ。牛肉のグリル(Nuea Yang)は90バーツ、豚肉のグリル(Moo Yang)も90バーツと、どれも手頃な価格だ。ラープやソムタムなどのサラダ類は50〜100バーツ、ライスは1杯15バーツで注文できる。
| メニュー | 価格 |
|---|---|
| 丸鶏の炭火焼き(Kai Yang)1羽 | 190THB(約950円) |
| 丸鶏の炭火焼き(Kai Yang)半羽 | 105THB(約525円) |
| 豚肉のグリル(Moo Yang) | 90THB(約450円) |
| 牛肉のグリル(Nuea Yang) | 90THB(約450円) |
| スペアリブの炭火焼き | 90THB(約450円) |
| もち米・白米 | 各15THB(約75円) |
| ラープ・ヤムなど和え物類 | 50〜100THB(約250〜500円) |
| Singha・Leo・Changビール | 75〜85THB(約375〜425円) |
今回はこの中から、看板メニューの半羽の炭火焼き鶏と、牛肉のグリルの一皿、ライスも合わせて注文した。
半羽の炭火焼き鶏、皮のパリッと感がたまらない

運ばれてきたのは、骨付きのまま豪快にぶつ切りにされた半羽の炭火焼き鶏。もも肉・むね肉・手羽と、部位ごとの食感の違いを一皿で楽しめる。タレは甘酸っぱいスイートチリソースと、青唐辛子とパクチーが入った香草系のナムチムの2種類が添えられていた。

一口かじると、皮はパリッと軽い歯ごたえで、そこから肉汁がじわりとあふれてくる。炭火ならではの香ばしさがしっかり効いていて、塩気は控えめ。だからこそ、香草系のナムチムをつけると味の輪郭がはっきりする。骨のまわりの身が特にジューシーで、しゃぶりつくように食べてしまった。

骨が多い分、フォークで身をほぐしながら食べる必要はあるが、その手間を惜しむ理由が見当たらないくらいの美味しさだった。フォークを使ったのは最初だけで、あとは手でかぶりついて食べた。
これで、105バーツでこの満足感は、コスパの良さで言えば上位に入る一皿だ。
牛肉のグリルも追加

鶏だけでなく、牛肉のグリル(Nuea Yang)と思われる一皿も注文した。厨房の奥には丸鶏用とは別に平型の炭火グリルがあり、そこで薄切りの肉が焼かれているのが見えた。目の前で炭火が扱われる様子を見られるのも、こういう店の楽しみのひとつだ。

食べやすい大きさに切り分けられて提供され、断面には軽いピンク色が残っていた。厚みのある部位と薄めの部位が混在していて、噛むほどに脂の甘みが広がってくる。

鶏肉よりも香草系のナムチムとの相性がよく、こちらもあっという間に完食した。90バーツという価格を考えると、肉の量・質ともに十分すぎる内容だった。
ビブグルマン獲得の実力店

店内の壁には、2020年から2023年までのミシュラン ビブグルマンのステッカーが貼られていた。ビブグルマンは、星付きの「ミシュランガイド」本体とは別枠で、価格以上の満足度を提供する店に贈られる評価だ。星の数を競うカテゴリではないが、コスパの良さが公式に認められている証でもある。
同じ壁には、料理研究家アンディ・リッカーの著書「Pok Pok」や、日本の旅行雑誌の紹介記事、現地ガイド「Walking Talking Thailand」の推薦カードも並んでいた。長年にわたって、タイ人だけでなく世界中の食通から支持されてきた店なのだと実感できる一角だ。
一点、正直に書いておくと、店内にはハエが数匹飛んでいた。屋台に近い開放的な造りの店なので仕方のない部分もあるが、衛生面に神経質な人は少し気になるかもしれない。味自体には満足しているだけに、この点は先に伝えておきたい。
まとめ|シメのご飯も含めて満足の一食

鶏肉と牛肉を一通り食べ終えたところで、最後に白米を追加注文した。皿に残った肉汁とタレにご飯を絡めて食べると、これがまた美味しい。炭火の香りが染み込んだ肉汁は、単体で飲み干したくなるくらいの旨みがあった。


感動して涙が出るというタイプの味ではないが、炭火の香ばしさとジューシーな肉汁、手頃な価格のバランスがとにかく良い。「普通に美味しい」を安定して出し続けているからこそ、ビブグルマンに何年も選ばれ続けているのだと納得した。
寺院観光の合間にふらっと立ち寄るもよし、旧市街での食事に迷ったときの候補にするもよし。チェンマイで炭火焼き鶏を食べるなら、まず名前が挙がる店のひとつだ。
料金・評価
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 価格 | ★★★☆☆ |
| ロケーション | ★★★☆☆ |
| テイスト | ★★★☆☆ |
| 清潔さ | ★★☆☆☆ |
| リピート度 | ★★★☆☆ |
SHOP INFO
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 店名 | SP Chicken(ไก่ย่างเอสพี) |
| 住所 | 9/1 Sam Larn Soi 1, Phra Singh, Mueang Chiang Mai, Chiang Mai 50200 |
| 営業時間 | 10:00〜17:00(店頭表示より) |
| 電話番号 | 081-472-3257 / 080-500-5035 |
| 価格帯 | 15〜190THB(約75〜950円) |
| おすすめ | 丸鶏の炭火焼き(Kai Yang)半羽 105THB |
| 受賞歴 | ミシュランガイド ビブグルマン(2020〜2023年掲載を確認) |

