辰年の人にご利益のあるお寺。
チェンマイ旧市街のほぼ中央、三王記念碑からほど近い場所に建つ「ワット・プラシン・ウォラマハーウィハーン」。チェンマイの中でも別格の格式を持つ王室寺院で、この日はSP Chickenで腹ごしらえをしたあと、あらためて本腰を入れて訪れた、この日のメインの目的地だった。
ソンクラーンとの関わり
プラシン仏像(プラ・プッタ・シヒン)は、毎年4月13〜15日のソンクラーン(タイ正月・水かけ祭り)の期間中、特別な台に乗せられてチェンマイ市内を巡行する。多くの人がこの機会に参拝できるよう、街を練り歩く形になっている。
(出典:タイ国政府観光庁「ワット・プラシン」)。
アクセスと入場料
正面の本堂入口には「WAT PHRA SINGH」と「TICKET」の案内が並ぶ。チケット売り場は入口のすぐ脇にあり、外国人は50バーツ。実際に窓口で支払って中に入った。


境内へ|本堂の佇まい
入口付近には学校の看板も見えた。境内には学校も併設されているようだ。

黒漆に金の装飾を纏った本堂、ヴィハーン・ルアンが正面にどっしりと構える。1345年、ランナー王朝5代目のパユー王が父カムフー王の遺灰を納めるために建てたのが始まりで、当初は「ワット・リー・チェン・プラ」と呼ばれていたという。1400年に本尊「プラ・ブッダ・シーヒン(獅子仏)」が安置されたことで、今の名前に変わった。1935年にはラーマ8世によって第一級王室寺院の格式を授けられている。
ラーンナー王朝第5代パーユー王(1336~1355年)によって1345年に建立された、チェンマイ旧市街で最も大きい寺院。かつては「ワット・リーチェンプラ」と呼ばれていたが、第7代王セーンムアンマーがチェンライからプラシン仏像を迎え入れてから「ワット・プラシン」として親しまれるようになった。プラシン仏像(プラ・プッタ・シヒン)は、敷地内奥にある精緻な木彫りとランナー様式の壁画が特徴的な本堂、ウィハーン・ライカムに祀られている。



入口の扉には守護神が描かれている。くぐる前から、ただの観光スポットではない空気を感じた。

本堂内部|祝福の儀式と本尊
中に入ると、ちょうど僧侶による祝福の儀式が行われている最中だった。自分が祝福を受けたわけではないが、参拝客が水を受けながら手を合わせる様子をしばらく見学させてもらった。声を発するでもなく、みんなが静かに順番を待っている空気が、旧市街の喧騒とは別世界のように感じられた。

正面には本尊「プラ・シー・サンペット(หลวงพ่อโต)」が金色に輝く。堂内は高い天井とシャンデリアで、外の熱気を忘れるくらい落ち着いた空気が流れている。


賽銭箱にはQRコードが貼られていた。現金を持ち合わせていなくても、スマホ決済で納められる。時代を感じる一枚。

参拝する人々
白いカバーの椅子が本尊に向かってずらりと並び、その間を参拝客が行き交う。奥の祭壇に向かって正座し、静かに手を合わせる人の姿が印象的だった。


廊下の仏伝図
本堂に隣接する回廊には、釈迦の生涯を描いた仏伝図パネルが順番に並ぶ。窓の外にはヤシの木が揺れていて、堂内の静けさとのコントラストが心地よかった。


壁画の堂|ライカム堂
本堂を出て奥へ進むと、壁一面に細かな壁画が描かれた堂があった。「ライカム堂(Viharn Lai Kham)」で、ワット・プラシンの中でも最も有名な建物の一つらしい。1815年から1821年にかけて副王タンマランカーの治世に建てられ、本尊「プラ・ブッダ・シーヒン」を安置する。ランナー地方の民話や仏教説話を描いた壁画で知られる。

仏塔エリアと、灼熱の参道
本堂をひと通り回ったあとは、境内奥にそびえる仏塔(チェディ)へ。境内最古の建造物で、1345年の建立時からここに立っているという。円形と方形を組み合わせた基壇の各面には、象の彫刻が施されていて、近づくほどに金箔の輝きと細工の緻密さに目を奪われた。



仏塔の下を一周できるようだったので、靴を脱いで裸足で足を踏み入れたのだが、これが大誤算だった。人工芝の地面が直射日光でとんでもなく熱くなっていて、とてもではないけど1周できなかった。片足ずつ跳ねるように歩いては立ち止まりを繰り返す羽目になり、一緒にいたタイ人観光客も暑さに耐えかねて入り口に戻っていたので、自分だけではなかったらしい(笑)。チェンマイの日差しをなめてはいけないと痛感した一幕だった。




境内にはいくつかの仏塔が点在していて、それぞれ生まれ年の干支に対応した礼拝文の看板が立てられていた。自分の干支の塔を探して手を合わせるタイの参拝スタイルは、日本の寺院ではあまり見ない習慣で面白い。
タイ北部(ランナー文化圏)には「プラタート・プラチャムピークート」と呼ばれる、生まれ年の干支ごとに定められた守護寺院(プラタート=仏塔)を一生に一度は参拝すべき、という伝統的な信仰がある。十二支それぞれに対応する寺院が北タイ・北東タイを中心に点在していて(例:子年=ワット・プラタート・シーチョムトーン、卯年=ワット・プラタート・チェーヘン等)、辰年生まれの守護寺院がワット・プラシンとされている。地元の人にとっては「自分の干支の寺院に参拝すると縁起が良い」という一生に一度の巡礼先という位置づけのようだ。
タイ国政府観光庁「聖地巡礼」特集ページ




戒壇と羅漢像
敷地内にある戒壇を扉越しに覗くと、何人もの僧侶が集まって座っていた。観光客向けに整えられた光景ではなく、日常の一コマをたまたま見せてもらった感覚があった。金と朱の装飾に囲まれた薄暗い堂内で、静かに読経が続いていく。境内を歩いてきた中でも、一番リアルな信仰の現場に立ち会えた瞬間だった。

境内の一角には、金色の羅漢僧侶像がずらりと並ぶエリアもある。木陰に座る像の表情がひとつひとつ違っていて、じっくり見比べたくなる。

まとめ
ワット・プラシンは、本堂の祝福の儀式から、壁画の堂、金の仏塔、戒壇まで、1つの境内に見どころが凝縮された寺院だった。灼熱の人工芝だけは要注意だが、それも含めて記憶に残る参拝になった。旧市街を歩くなら、外せない一箇所だと思う。
📍基本情報
| 名称 | วัดพระสิงห์วรมหาวิหาร/Wat Phra Singh Woramahaviharn |
| 住所 | 2 Samlan Rd, Phra Sing, Mueang Chiang Mai(チェンマイ旧市街) |
| 入場料 | 外国人50THB |
| アクセス | 旧市街中心部、三王記念碑から徒歩圏内 |
| 備考 | ライカム堂と思われる堂内は土足厳禁。人工芝の参道は日中とても熱くなるので素足での長時間歩行に注意 |

