移動の途中、ふと立ち寄った寺院に、こんな迫力があるとは。
チェンマイ旧市街から少し東、次の目的地へ向かう道の途中にワット・スワンドーク(Wat Suan Dok)がある。移動中に少し寄っただけの寺院だった。だが山門をくぐった瞬間、目に飛び込んできた黄金の塔と、その周りを埋める白い塔の数に、思わず足を止めた。
境内に一歩入ると

外周の道沿いには、バイクや車が並ぶ駐車場がある。柵の向こうにはすでに黄金の塔と白い塔の先端が見えていて、境内に入る前から期待感が高まる。

入口に立つのは、北タイらしい繊細な装飾を施した白亜の門だ。三つの尖塔が空に向かって伸び、その先端だけが金色に輝いている。

門をくぐると、青々とした芝生の参道が本堂まで続く。正面に白い塔が並び、緑と白のコントラストが美しい。

境内は広い。鳥が飛び交う芝生の広場からは、通り沿いのビルまで見渡せる。チェンマイの街中にありながら、ここだけ空気が違う。

境内の中心にそびえるのが、黄金に輝く主塔だ。その周りをぐるりと囲むように、白い塔が何十基も立ち並んでいる。遠くから見ると、金と白のコントラストがそのまま絵になる光景だった。
黄金の主塔

主塔のそばに立つ案内板には、次のように記されていた。
ワット・プラユーンの碑文には、ワット・スワンドークが1371年、クー・ナー王がスコータイから招いた僧侶スマナ・テーラのために建立したと記録されている。この寺院の主塔は、大きなランナー様式の鐘形仏塔で、頂部の相輪(ヤシュティ)には祝福の姿をとる立仏が並ぶ。ランナー様式でこうした装飾を見るのは珍しく、スコータイ美術の影響を示すものだという。
境内の案内板より

主塔の基壇に続く階段には、ナーガ(蛇神)の像が両脇を固める。600年以上前に建てられたという歴史を思うと、この黄金の輝きが今も保たれていることに素直に驚く。


真下から見上げると、塔の先端まで一直線に金色が伸びている。曇り空でも、この一角だけは金色に発光しているように見えた。
白い塔群|北タイ王族の霊廟

主塔の周囲には、白い塔が数十基もひしめいている。ただの装飾ではない。これらは北タイの歴代王族の霊廟だという。

これらの霊廟には、チェンマイの9代にわたる統治者と、ラーマ5世(チュラロンコン大王)の妃であったダーラーラッサミー王女、そしてその子孫たちの遺骨が納められている。
境内の案内板より

塔と塔の間を歩いていると、上空を飛行機が横切った。境内は静かで、参拝者もぽつぽつといる程度だった。

ただ、正直な感想を書くと、遠くから見た時の迫力と、近づいて見た印象はかなり違う。近くまで寄ると、塔の表面は苔で黒ずみ、白い塗装もあちこち剥げていた。歴史の重みと言えば聞こえはいいが、単純に劣化が目立つ。写真を撮るなら、少し距離を取って全体を眺めるほうが、この寺院の魅力はよく伝わると思う。

角度を変えて見ても、塔の密集ぶりは変わらない。一基一基に銘板がついていて、それぞれ別の人物の霊廟だということが伝わってくる。
本堂で合掌

境内の一角には、本堂(ウィハーン)がある。正面は金彩の彫刻で埋め尽くされていて、白い塔群とはまったく違う華やかさだ。

中に入ると、金と紺の柱が奥まで整然と並んでいた。その奥、一番奥まった場所に本尊が座っている。

拝観料は無料だった。せっかく来たのだから、本尊の前で簡単に手を合わせておいた。観光地として賑わう寺院とは違い、ここは祈りの場としての空気が強く残っている。


祭壇の脇には、金色と黒銅色の僧侶像が並ぶ。それぞれ違う質感で作られているのも、じっくり見ると面白い。


窓の格子には、合掌する神様(デーヴァター)の細工が施されている。その隙間から、外の黄金の主塔が透けて見える。本堂の中と外、二つの見どころが一枚の窓にまとまっていた。

本堂の一角には、白い塔を模した小さな模型がガラスケースに納められていた。ガラスに反射して、本物の黄金の主塔が背後に重なって見える。境内で見てきたものが、この一枚に集約されているようだった。
まとめ
ワット・スワンドークは、自分にとって目的地ではなく、通り道にあった寺院だった。それでも、黄金の主塔と白い塔群が並ぶ光景は、わざわざ足を止めるだけの見応えがあった。
チェンマイの他の観光地を回っていて、近くを通ることがあれば、少し覗いてみるといい。拝観料もかからない。ただ塔群は、遠くから眺めるくらいがちょうどいいと思う。
📍基本情報
| 名称 | ワット・スワンドーク(วัดสวนดอก / Wat Suan Dok) |
| エリア | チェンマイ旧市街の西側 |
| 拝観料 | 無料 |
| 見どころ | 黄金の主塔・北タイ王族の霊廟(白い塔群)・本堂 |

