北タイのカレーラーメン、カオソーイ。
チェンマイに来たら食べる一杯だが、どの店に行くかで迷う。ミシュランに載っている店もあれば、地元客しか来ない食堂もある。値段も60バーツ(約300円)から95バーツ(約475円)まで開きがある。
別々の日に3軒をまわって、テイスト・価格・ロケーション・清潔さ・リピート度の5項目で採点した。写真も価格も、その場で記録したものだ。
結果を先に書く。一番うまかったのは、一番安い店でもなければ、一番長く賞を取り続けている店でもなかった。
カオソーイとは|揚げ麺と茹で麺、2層のカレーラーメン
カオソーイとは、タイ北部料理の定番であり、代表格ともいえる「チェンマイ風カレーラーメン」です。カレースパイスがたっぷり入ったココナッツミルクベースのマイルドなスープに卵麺を合わせて食べます。メインの具材は、柔らかく煮込んだ鶏、豚、牛などから選ぶことができます。
タイ国政府観光庁「カオソーイ」
食べてみて分かったのは、器の中に麺が2種類入っていることだ。スープに沈んだ茹で麺と、上に山盛りになった揚げ麺。この2層が一杯の中で食感を切り替えてくれる。
付け合わせも3軒で共通していた。ライム、紫玉ねぎか玉ねぎのピクルス、高菜の漬物。最初はそのまま食べて、途中でライムを搾る。これだけでスープの重さが抜けて、最後まで飽きずに食べ切れる。
全体像

3軒はきれいに散らばっている。1位のルン・プラキットは旧市街の南、チェンマイ門から歩いて10分。2位のカオソーイニマンはニマンヘーミン。3位のメーサイは旧市街の北、チャーンプアック地区だ。
歩いて3軒まわるには離れすぎているので、移動はソンテウかGrabになる。1日で食べ比べるより、滞在中に日を分けたほうが胃にも優しい。
選び方|5つの評価軸で3軒を採点した
個別記事で付けている★を、そのまま横に並べた。合計25点満点だ。
| No | 店名 | テイスト | 価格 | ロケーション | 清潔さ | リピート度 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ルン・プラキット | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | 21 |
| 2 | カオソーイニマン | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | 17 |
| 3 | カオソーイメーサイ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | 13 |
実用的な情報も並べておく。営業時間は3軒とも夕方までか、夜までかで性格が分かれる。
| No | 店名 | 場所 | 食べたもの | 価格 | 営業時間 | 受賞 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ルン・プラキット | チェンマイ門から徒歩10分 | ビーフ | 70B(約350円) | 9:30〜16:30/不定休 | ビブグルマン 2023・2024 |
| 2 | カオソーイニマン | ニマンヘーミン | チキン | 95B(約475円) | 10:00〜21:00 | ミシュラン掲載 |
| 3 | カオソーイメーサイ | チャーンプアック | ビーフ | 60B(約300円) | 8:00〜16:00/日曜定休 | ビブグルマン 6年連続 |
3軒とも賞を取っている。それでも味の評価は割れた。
第3位 カオソーイメーサイ|ビブグルマン6年連続の、日常の一杯

| テイスト | ★★☆☆☆ |
| 価格 | ★★★☆☆ |
| ロケーション | ★★★☆☆ |
| 清潔さ | ★★★☆☆ |
| リピート度 | ★★☆☆☆ |
| 合計 | 13 / 25 |
3軒で一番安い60バーツ。そして一番長く賞を取り続けている店でもある。2021年から2026年まで、ビブグルマンに6年連続で選ばれている。
麺は店で仕込んでいる。厨房の裏で生の卵麺を打ち、茹で麺も揚げ麺もそこから作る。洗い終えた食器と箸は店の外で天日干しにしていた。手間のかけ方は3軒で一番よく見えた。
牛肉は煮込まれて柔らかく、スープにしっかり馴染んでいる。パリッとした揚げ麺と、スープを吸って柔らかくなった茹で麺の両方が絡んでくる。ライムを搾ると酸味が加わって、スープの印象が変わった。
ただ、正直に書く。6年連続という看板を先に見てしまったぶん、期待が大きくなりすぎたのかもしれない。うまいが、驚きはなかった。昼どきになると地元客で席が埋まっていく、その日常のなかの一杯という感じだ。
営業は8:00から16:00まで。そして日曜定休。朝から開いているので朝食にも使えるが、夕方には閉まる。日曜に行くと空振りするので、ここだけは先に覚えておいてほしい。

第2位 カオソーイニマン|雰囲気ごと食べる、観光客向けの一杯

| テイスト | ★★★★☆ |
| 価格 | ★★★☆☆ |
| ロケーション | ★★★☆☆ |
| 清潔さ | ★★★☆☆ |
| リピート度 | ★★★★☆ |
| 合計 | 17 / 25 |
95バーツ。ローカルの店だと60バーツ前後なので、はっきり高い。それでも2位に置いたのは、スープの完成度と空間の両方で納得したからだ。
ひと口めに来るのは酸味。そのあとにじんわりとココナッツの甘みが広がって、最後にスパイスのコクが残る。順番に来るのが面白い。バランスが取れていて、くどさがない。麺は玉子麺でもちもち、上の揚げ麺がサクサクと食感のアクセントになる。チキンは骨付きでボリュームもあった。
店はウッドとグリーンを基調にしたオープンエアで、大きな赤いランタンが吊るされ、ヤシの木が植わっている。観光客にも地元の若者にも人気で、昼時は行列ができていた。
3軒のなかで夜も開いているのはここだけ(21:00まで)。他の2軒は16時台に閉まるので、夕食にカオソーイを食べたいなら実質この一択になる。35バーツの差は、その使い勝手を買う値段だと思えば悪くない。

第1位 カオソーイ・ルン・プラキット|地元価格で、地元の味

| テイスト | ★★★★☆ |
| 価格 | ★★★★★ |
| ロケーション | ★★★☆☆ |
| 清潔さ | ★★★★☆ |
| リピート度 | ★★★★★ |
| 合計 | 21 / 25 |
創業40年以上。チェンマイ門から歩いて10分ほどの、観光客がほとんどいないエリアにある。1位にした理由は、味と値段の釣り合いがこの3軒で突出していたからだ。
揚げ麺がこんもりと山盛りになった見た目のインパクトが強い。スープをひと口すすると、ココナッツミルクのまろやかさとスパイスの香りが一気に広がる。深みとコクがしっかりある。牛肉はホロホロと崩れる柔らかさで、濃いスープに負けていない。
添えられたライム、紫玉ねぎ、高菜の漬物を途中で足すと、スープの印象がぐっと軽やかになった。最後まで飽きずに食べ切れたのはこの3つのおかげだ。
行列は「会計待ち」だった
店に着いたとき、入口に列ができていた。一度は諦めかけたが、並んでいる人に聞いてみると、食後の会計待ちの列だという。そのまま横を抜けて店内に入れた。待ち時間はゼロだった。
この店の前に行列ができていても、まずは店先まで行って状況を確かめてほしい。見ただけで引き返すのはもったいない。
タイ語が読めなくても注文できる
席に着くと番号入りのクリップボードを渡される。QRコードを読み込むと注文専用のサイトが開いて、そこから自分で注文する仕組みだ。写真付きなのでタイ語が読めなくても選べる。会計は食後に、クリップボードをレジへ持っていく。
飲み水は無料のセルフサービス。店の奥にはエアコンの効いた個室があって、こちらは1人10バーツ(約50円)、専用ボックスに自分で料金を入れる方式だった。トイレもこの個室の利用者向けにある。
もうひとつ、レジ横にカレーペーストの量り売りコーナーがある。100gから買えるので、この味を持って帰りたい人には土産になる。

実際に食べ比べて感じたこと
1.自分に合うかどうか
ビブグルマン6年連続のメーサイが3位、2年のルン・プラキットが1位になった。価格差はたった10バーツだ。
賞は「大外ししない店」を教えてくれる。実際、3軒とも不味い店は1つもなかった。ただ「自分が一番うまいと思う店」までは教えてくれない。そこは自分の舌で決めるしかない。
2.まずはお店に入ってみる
ルン・プラキットの列は会計待ちだった。タイの食堂は後払いの店が多く、入口付近にレジがあると、その列が外から見ると入店待ちに見える。
列の長さで判断せず、まず店先まで歩いていって中を覗く。これだけで入れる店がひとつ増える。
3.観光客向けも侮れない
ニマンの95バーツは、ローカル価格から見れば確かに高い。ただ、この店だけが21時まで開いている。
チェンマイのカオソーイ専門店は夕方に閉まる店が多い。夜にカオソーイを食べたいなら選択肢がほとんどない。35バーツの差額は味の差というより、好立地と綺麗な空間を買う値段だった。
まとめ
目的別に選ぶなら、こうなる。
- 一杯だけ選ぶなら … ルン・プラキット。70バーツで味も量も満たせる
- 夜に食べたいなら … カオソーイニマン。21時まで開いている唯一の店
- 朝から食べたいなら … メーサイ。8時開店。ただし日曜は休み
3軒まわって60バーツから95バーツ。全部で225バーツ(約1,125円)だった。日本でラーメンを2杯食べる金額で、同じ料理の違いを3通り味わえる。
カオソーイは店ごとにスープの性格がはっきり違う。1軒で決めつけず、滞在中に何軒か回ってみてほしい。自分の好みがどこにあるかは、食べ比べないと分からなかった。


