朝から夜まで、チェンマイの一皿。
チェンマイの飯は安い。ただ旅先で困るのは「安い店」を探すことではなく、「今この時間に開いていて、うまい店」を知らないことだった。朝7時半に開く鶏飯屋もあれば、0時まで開いている屋台もある。
この記事では実際に食べた11軒を、朝・昼・夜の3つに分けて並べた。金額は全部、その場で払った実額だ。
一覧表|11軒のおすすめ時間帯
| 時間帯 | 料理 | 店名 | 場所 | 払った額 | 営業時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 朝・昼 | カオマンガイ | Dan Chicken Rice | ニマン | 60B | 7:30〜(昼すぎ売切れ) |
| 朝・昼 | ぶっかけ飯 | ナーイ・ペタイ | スーテープ | 90B | 9:00〜 |
| 朝 | トースト+タイティー | Soft Power | チェンマイ門市場内 | 20B | 早朝〜(市場の営業時間) |
| 朝・昼 | 揚げパン+お粥 | パートンコー ゴーネン | Praisani Rd沿い | 90B | 6:00〜12:00/13:00〜17:00 |
| 朝 | カヤトースト | Gopuek Godum | チェンマイ | 55B〜 | 記載なし(朝から満席) |
| 昼 | 炭火焼き鶏 | SP Chicken | 旧市街 | 105B | 10:00〜17:00 |
| 昼・夜 | カオソーイ | カオソーイニマン | ニマンヘーミン | 95B | 10:00〜21:00 |
| 昼 | パッタイ | Pad Thai 5 Rod | 旧市街 | 65B | 記載なし |
| 夜 | 魚粥 | 魚粥シラチャー | LOYY Hotel周辺 | 160B(2品) | 16:30〜 |
| 夜 | 豚足飯 | チャンプアック | チェンマイ | 80B | 17:00〜0:00 |
| 夜 | 北タイ料理 | トーン テム ト | ニマンヘーミン Lane13 | 372B(2品+ご飯+ビール) | 〜23:00 |
朝に行ける5軒
売り切れもよくあったので、朝7時半から昼すぎまで。チェンマイは朝めしの選択肢が広い。
Dan Chicken Rice|茹でと揚げ、両方のせたミックス

茹で鶏ご飯が45バーツ(約225円)、揚げ鶏ご飯も45バーツ。この2つを一皿に盛る「ミックス」が60バーツ(約300円)だ。揚げ鶏を選べる店は珍しくないが、両方を同時に盛れるのがこの店の持ち味だと思う。
揚げ鶏の衣は薄く、断面から湯気が上がるできたてが出てくる。カオマンガイ自体は優しい味なので、後半は別皿のチリソースを絡めて味を変えた。出汁のきいたお米が、タイ料理に疲れた胃袋に優しい。スプーンが止まらなかった。
7時半から開いていて、朝食に使える。ただし昼すぎには売り切れるので、行くなら昼前がいい。場所はニマンエリア、シリ・マンカラチャン通り沿いの住宅街だ。

Soft Power|トーストとタイティーで20バーツ

チェンマイ門市場のなかにある小さな茶店。アイスタイティーが15バーツ(約75円)、トーストが5バーツ(約25円)。合わせて20バーツ(約100円)だ。この安さは、正直笑ってしまうレベルだった。
タイティーはコンデンスミルク入りなのに甘ったるさが控えめで、朝から飲んでもすっと入ってくる。トーストはよく焼きにしてもらい、バターと、おそらくコンデンスミルクを軽く塗ってくれていた。
元気なおばちゃんが一人で切り盛りしていて、注文するとテキパキ作ってくれる。ドリンクは全品15バーツ。感激するような特別な味ではないが、だからこそ毎日食べても飽きない。買い物を済ませたおばちゃんたちが同じようにトーストをつまんでいて、これがこの市場の日常の朝ごはんなんだと納得した。

パートンコー ゴーネン|恐竜の形をした揚げパン

ミシュランガイドに2021年から2025年まで5年連続で掲載されている食堂。それでいて揚げパンは3バーツ(約15円)からと手頃だ。
名物は動物の形をしたパトンコー(揚げパン)。ドラゴンが40バーツ、ワニ・カエル・恐竜・象が各20バーツ(約100円)。注文した恐竜は、背びれやしっぽまで細かく成形されていて、生地の量も多い。卵入りの豚肉お粥45バーツ(約225円)とアイスの豆乳をつけて、この日の合計は90バーツ(約450円)だった。
お粥にはMaggiを数滴たらすのが定番らしく、テーブルに小瓶が置いてある。醤油のような味で、優しいお粥とピッタリだった。営業は6:00〜12:00と13:00〜17:00の2部制。朝の地元の空気ごと味わえる一軒だ。

Gopuek Godum|4色のカスタードで食べるトースト

看板メニューが「Thai Custard Dip 4色」。バタフライピー、ビートルート、タイティー、ジャスミングリーンティーの4種類のカスタードが、1枚の皿に色分けして盛られて出てくる。中央にはバタフライピーの花が一輪添えられていた。
トーストは4等分にカットされているので、1枚の皿で4通りの組み合わせを試せる。トースト+ディップで55バーツ(約275円)、アイスタイティーが35バーツ(約175円)。ベトナム風のPan Fried Egg(目玉焼きとソーセージ)も55バーツで頼んだ。
盛り付けが気になって厨房を覗かせてもらった。4色のカスタードは専用の容器に作り置きしてあって、注文が入るたびに白い皿へ手早く流し、最後に皿の底をトントンと軽く叩いて均していた。トタン屋根の半屋外で、朝から席が埋まっている。

昼に行ける3軒
ナーイ・ペタイ|量り売りで、好きなだけ盛れる

昼時になると、地元の人で行列をなしているので、すぐにわかる。回転率も早く、見た目の行列ほどまたずに、サクッと昼食が取れるので、おすすめだ。
ご飯におかずを好きに乗せてもらう、カオラートゲーン形式の食堂。ライスとおかず1品で40バーツ(約200円)、3品盛りで50バーツ(約250円)。揚げ豚は100gあたり40バーツで、頼み方次第で金額が変わる。
この日はフライドチキン・そぼろ肉・煮卵・角煮を乗せて、100%オレンジジュースをつけて90バーツ(約450円)だった。角煮は箸で崩れるほど柔らかく、そぼろ肉はご飯によく絡む。煮卵は味がしっかり染みていて、黄身までカレー色に染まっていた。
おかず同士の味の濃淡がはっきりしているので、白ご飯と交互に食べると飽きが来ない。何を食べるか決めきれない日にもおすすめできる。昼どきは行列ができるが、回転が速いので待ち時間は短かった。

SP Chicken|炭火焼きの半羽が105バーツ

旧市街、ワット・プラシンへ向かう途中にある炭火焼きの店。半羽が105バーツ(約525円)、丸鶏1羽なら190バーツ(約950円)。もち米と白米は各15バーツだ。
一口かじると、皮はパリッと軽い歯ごたえで、そこから肉汁がじわりとあふれてくる。炭火ならではの香ばしさがしっかり効いていて、塩気は控えめ。だからこそ、青唐辛子とパクチー入りのナムチムをつけると味の輪郭がはっきりした。105バーツでこの満足感は、コスパでいえば上位に入る一皿だ。
注文は1番から33番まで並んだチェックシートに丸をつけて渡す方式。レジ横に写真と英語のついたメニューボードがあるので、番号さえ合わせれば頼める。ひとつだけ正直に書くと、店内にはハエが数匹飛んでいた。衛生面が気になる人は少し構えておいたほうがいい。

カオソーイニマン|夜21時まで食べられるカオソーイ

ニマンヘーミンにある、ミシュラン掲載のカオソーイ専門店。ローカルの店なら60バーツ前後なので、95バーツは強気の価格だ。それでもスープの完成度は確かだった。
ひと口めに来るのは酸味。そのあとにじんわりとココナッツの甘みが広がって、最後にスパイスのコクが残る。麺は玉子麺でもちもち、上に乗った揚げ麺がサクサクと食感のアクセントになる。
10:00から21:00まで開いているのがありがたい。チェンマイのカオソーイ専門店は夕方に閉まる店が多いので、夜に食べたいときの選択肢になる。カオソーイは3軒を食べ比べて別の記事にまとめてある。

Pad Thai 5 Rod|目の前の鉄鍋で焼くパッタイ

旧市街を散策していて、たまたま見つけた屋台。店先の黄色いメニュー表には、パッタイだけで7種類。ノーマルの50バーツ(約250円)から海老入りの140バーツ(約700円)まで揃っている。
注文したのはパッタイの卵とじ、65バーツ(約325円)。目の前の鉄鍋で麺を炒め、ひき肉ともやしを加え、最後に薄焼き卵で包んでいく工程が全部見られる。バナナリーフに乗って出てきた。
Theパッタイという、シンプルながら安心する味。卵があるぶんボリュームも満点だ。卓上のスウィートチリソースを足すと甘辛さが加わって、さらに箸が進んだ。年季の入った木製テーブルと仏壇が置かれた、地元の空気感そのままの店だった。

夜に行ける3軒
夕方16時半を過ぎると、昼の店が一斉に閉まる。ここからが夜の部だ。
魚粥シラチャー|タイ料理に疲れた胃に効く

ゲストハウスで同部屋になったチェンマイ出身のタイ人に「チェンマイで魚粥食うならここだけ行っとけ」と教えてもらった店。LOYY Hotelの近くにある。
白く濁ったあっさりスープに、ほろほろした白身魚の切り身が沈んでいる。上にはパクチーと揚げにんにくがたっぷり。魚は臭みゼロで、身がふかふか、噛むとほどけるような食感だった。塩気が控えめで、魚の旨みがじんわり広がる。辛くない。しょっぱくない。ただうまい。
魚粥は具材によって70〜150バーツ(約350〜750円)。エビオムレツと合わせて160バーツ(約800円)だった。ローカル食堂の相場が40〜60バーツなことを考えると強気だが、素材の鮮度を考えれば納得できる。スパイシーなタイ料理で胃腸が疲れた日や、飲みすぎた翌朝に効く一杯だ。開店は16:30から。

チャンプアック|0時まで開いている豚足飯

カオカオムー(ข้าวขาหมู)は、豚足や豚バラを甘辛く煮込んだタレをご飯にかけた定番の屋台飯。台湾のルーローハンに近いイメージで、こってりした煮込み系が好きな人に刺さる。
看板は60バーツ(約300円)からだったが、せっかくなので大サイズの80バーツ(約400円)にした。たっぷりの豚肉にコラーゲンたっぷりの豚足、煮卵つきでボリューム満点だ。若干のパサつきはあるが、八角がよく効いていて美味しい。日本人に合う味付けで、フォークが止まらなかった。
後半になるにつれ、出汁がいい感じでご飯に染みてきて、最後まで飽きずに食べられた。営業は17:00から0時まで。この11軒で一番遅くまで開いている。

トーン テム ト|北タイ料理で一杯やる

ニマンヘーミンのLane 13にある、北タイ料理の店。頼んだのはハンレーカレー127バーツ(約635円)とラープムー103バーツ(約515円)、白ご飯15バーツ、Chang Beer 127バーツ。合計372バーツ(約1,860円)だった。
ハンレーはビルマ由来の豚肉カレー。ショウガとにんにくを効かせた甘辛い味付けで、酸味は控えめだ。豚バラの脂身がとろりと煮込まれ、スープにショウガの千切りが浮かぶ。ラープムーは北タイ風の炒り挽き肉料理で、香ばしい炒り米の粉が混ぜ込まれ、皿の脇に揚げた豚皮が添えられていた。
2皿とも白ご飯によく合う味付けで、あっという間に皿が空になる。辛さは中程度なので、辛いものが得意でなくても食べ進めやすい。なお白ご飯は追加で注文が必要だ。半屋外で炭火焼きコーナーが併設されていて、23時まで開いている。

番外編|スムージーのJoost

飯ではないが、外せないので番外編で入れておく。ニマンヘーミンのソイ13にあるスムージー屋だ。
最初に飲んだアボカドココナッツが120バーツ(約600円)。濃厚なアボカドの甘みとココナッツのやさしい甘さがきれいに混ざっていて、甘すぎずごくごく飲める。ボリュームがあるのに最後まで飽きなかった。若い女性客ばかりで少し迷ったが、勇気を出して入ってよかった。
2回目はマンゴスチンを150バーツ(約750円)で。ライチのような酸味があって、そのあとにマンゴスチン特有の甘さが来る。果実の女王と呼ばれる所以だと思った。屋台より高いが、素材はその場でカットして使っている。営業は8:00から20:00まで。


タイ語が読めなくても注文できる
11軒まわって分かったのは、英語かメニュー写真がある店が大半だったことだ。実際の頼み方は店によって違った。
- 写真つきのメニュー … パートンコー ゴーネン(タイ語・英語・中国語の併記に写真つき)、トーン テム ト(写真を指差すだけで通じる)
- 英語とタイ語の併記 … Dan Chicken Rice、ナーイ・ペタイ、Gopuek Godum、Joost
- 番号を指定する方式 … SP Chicken(1番から33番のチェックシートに丸をつけて渡す)
- 数字だけの看板 … チャンプアック(60バーツ・80バーツの表示を指差して、サイズを伝えるだけ)
- タイ語が中心 … チェンマイ門市場。値札はタイ語表記がほとんどで、英語はあまり見当たらなかった
困ったのは市場だけで、あとは指差しで足りた。店員におすすめを聞いて決めたこともある。Joostで「Avocado Coconut」を勧められたのがそれで、結果的にチェンマイで一番のスムージーに出会えた。迷ったら聞くほうが早い。
予算の目安
11軒で実際に払った金額から、1日の食費を組んでみる。
| 一番安かった朝食 | Soft Power 20B(約100円) |
| 一皿で満たせる昼食 | Pad Thai 5 Rod 65B(約325円) |
| がっつり食べたい夜 | チャンプアック 80B(約400円) |
| この3食で1日 | 165B(約825円) |
| 一番高かった一皿 | SP Chicken 半羽 105B(約525円) |
| ビールを入れて食事らしくすると | トーン テム ト 372B(約1,860円・2品+ご飯+ビール) |
ローカルの店で通せば、1日200バーツ(約1,000円)あれば足りる。スムージーや店で飲むビールを足すと一気に跳ね上がるので、そこだけ別枠で考えておくといい。
まとめ
目的別に選ぶなら、こうなる。
- とにかく安く済ませたい … Soft Power。トーストとタイティーで20バーツ
- 朝から肉を食べたい … Dan Chicken Rice。7時半開店、昼すぎには売り切れる
- 写真を撮りたい … パートンコー ゴーネンの恐竜、Gopuek Godumの4色カスタード
- 胃が疲れた … 魚粥シラチャー。辛くない、しょっぱくない
- 遅い時間に腹が減った … チャンプアック。0時まで開いている
- 腰を据えて飲みたい … トーン テム ト。北タイ料理とビールで23時まで
どの店も、特別な予約や下調べは要らなかった。開いている時間さえ合えば、ふらっと入って食べられる。チェンマイの食事はその気軽さが一番いいところだと思う。


